永遠平和のために (岩波文庫 青 625-9)

  • 岩波書店 (1985年1月16日発売)
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カントの晩年の代表作である「永遠平和のために」、やっと読むことができました。本書は訳注や解説を含めても150ページ程度なのであっさり読めるかと期待していましたが甘かったです。一行一行噛み砕きながら読み進めたものの、カント特有の婉曲的な表現なども多数散りばめられていて苦戦しました。そして本論よりも付録を読み解くことにさらに苦戦し、これは全体の3割くらいしか理解できていないのでは?と怖れを抱いていましたが、最後の訳者による解説によって理解度が一気に8割くらいに上がった気がします。おかげさまで腹落ちしてきた感じがするのですが、少し時間を空けてまた最初から一読しようと思っています。単なる理想像としての永遠平和ではなく、リアリズムの視点からも永遠平和がなしうることを説いた本として、とても興味深く読みました。
以下、備忘録としてカントの述べている永遠平和のための条項です。

<国家間の永遠平和のための予備条項>
第1条項:将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない。
第2条項:独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できることがあってはならない。
第3条項:常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
第4条項:国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない。
第5条項:いかなる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力を持って干渉してはならない。
第6条項:いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。

<国家間の永遠平和のための確定条項>
第1確定条項:各国家における市民的体制は、共和的でなければならない。
第2確定条項:国際法は、自由な諸国家の連合制度に基礎を置くべきである。
第3確定条項:世界市民法は、普遍的な友好をもたらす諸条件に制限されなければならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年4月30日
読了日 : 2018年5月25日
本棚登録日 : 2023年4月30日

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