憲法の無意識 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2016年4月21日発売)
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本棚登録 : 306
感想 : 21
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柄谷さんの本は毎回期待しながら読むのですが、今回も期待を裏切らず面白く拝読しました。柄谷さんの本は、書いてあること自体正しいか正しくないか、という視点で読むのではなく、素直に「そう来たか」というところを面白がって読む方が私は好きです(正確に言えば私のレベルでは正しいかどうかなどわからない)。本書は複数の講演録をもとにつくられているので、章の間のつなぎというか、論理展開が飛躍している感じのある箇所もあったのですが、全体的には面白く拝読しました。憲法9条はなにか仏教で言うところのお布施、見返りを求めない純粋贈与であって、純粋贈与に対してつばを吐きかけるような国があれば世界中から非難を浴びる、よってこれこそが実は抑止力であるという視点です。ある国で市民革命が起きれば他国の干渉(領土侵攻)が起こりますが、日本の9条に関しては他国の干渉(領土侵攻)が起こらない中で導入された、これはなにか色々な偶然が重なった奇跡という感じもしました。私くらいのレベルでは、もはやこのレベルの本ですと正しい、正しくないというのが判断できる水準を遙かに超えているので、純粋に楽しんで読みました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月30日
読了日 : 2017年12月6日
本棚登録日 : 2023年4月30日

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