タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (1967年2月16日発売)
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本棚登録 : 2045
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50年前に刊行されていまだに読み継がれているという日本社会を論じた代表的な書籍になります。いままで読む機会がなくようやく読みましたが、納得する点も多々ありました。原則ではなく人間関係がモノを言う、「ウチ」と「ソト」の意識、などの概念は今でも十分通用すると思います。ただ学術書ではなく一般書を意識してあえてそうしたのかもしれませんが、データの裏付けや検証部分については省かれていて、うがった見方をすれば「それは著者の周囲の偏った社会の中だけではないのか?」ということも言えるわけです。また海外との比較もたまに書かれていますが、英国、インドとこちらもかなり限られたサンプルとの比較であることは否めません。

5節では集団の構造分析ということでタテ、ヨコ、外周というような形で構造分析がなされていますが、私は本書のフレームよりも、エマニュエル・トッドが示した家族構造のモデルの方がピンときています(詳細は例えば『世界の多様性』などをご覧ください)。ただトッドも日本社会の分析となるとあまり切れ味が鋭くないことから(日本人の実感に合わない分析も多々ある)、そこは日本人の中根さんに軍配が上がる、ということで、日本社会の分析については本書が役立つと思いましたが、構造の一般化についてはさほど感銘を受けませんでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月6日
読了日 : 2020年9月3日
本棚登録日 : 2023年5月6日

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