ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

  • ダイヤモンド社 (2016年12月2日発売)
3.73
  • (37)
  • (67)
  • (43)
  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 801
感想 : 68
4

ブロックチェーンの初心者として本書を手に取りました。技術的な面も比較的容易に書かれているので読みやすく好感を持ちました。ブロックチェーンの本質は分散で、「誰のものでもないが皆のもの」ということで、ケビン・ケリーが別の本で述べていたように、コモンズ的な要素が強くあると思います。そして本書でも著者が述べているように、これまでの資本主義とは違う新たな経済形態を創出できる可能性があり、さらには資本主義におしつぶされそうになっている民主主義の回復ということも実現できるのかもしれません。

個人的な意見ですが、ブロックチェーンがその本来目指しているコモンズ的な機能を純粋に実現できるかどうかは、現在我々の社会を構成している、共同体、国家、資本制企業の存在を「消し去ろう」とするのではなく、それを高次に変質させよう、というアプローチが大事なのではないかと思います。国家を消し去る強力な武器であるかのように振る舞えば、逆にたちまち国家に取り込まれるのがオチだと思います。その意味では、本書を読んでマルクス主義者による19世紀欧州での共産主義革命とその失敗が頭に浮かび、ブロックチェーンも類似の道を辿る可能性がなきにしもあらず、と感じました。そしてブロックチェーンが純粋に持っているコモンズ的な機能はゆがめられて国家に取り込まれる、あるいは大資本企業に取り込まれ、変質した形で発展するというストーリーもなくはないだろうな、と思いながら全般的には非常に興味深く読まさせていただきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月28日
読了日 : 2017年5月15日
本棚登録日 : 2023年4月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする