ローマ人の物語 (3) 勝者の混迷

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  • 新潮社 (1994年8月1日発売)
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20210321
・ポエニ戦争後、スペインやガリアの反乱を鎮圧し、アンティゴノス朝マケドニアとセレウコス朝シリアとの戦争に勝つことでローマは属州を広げる
・属州の拡大により、中小家内農家を主体としてきたローマ経済は、奴隷を使う大農家と通商が盛んになり変容する。小規模農家は都市にプロレタリアートとして流入し、社会不安が生じるようになる。これを防ぐ労働政策(農地改革と植民都市建設)と政治改革を構想したグラックス兄弟は元老院派の反撃を受けて命を落とし挫折する。
・戦場が属州に移り、属州からの収益をローマが独占することで、ローマが大きな負担の代償として指導権を得てきた自衛同盟のバランスが崩れる。結果、同盟市戦争がおこり、イタリア全土にローマ市民権が与えられることになった
・プロレタリアート向けの福祉政策である小麦の低価格配給は行われ、彼らを支持母体とする民衆派勢力が現れる。民衆派と元老院派の争いは、属州平定の功績があるマリウスとスッラの私兵を使った軍事力によるローマ掌握によって血で血を洗う内部抗争に変わる。若いスッラはミトリダテス戦争後の内乱で民衆派を壊滅させ、元老院の質量ともの充実させ、一人に権力が集中することを防止し、市民集会と護民官の権力を削った。
・スッラ派のポンペイウスは、キリキア海賊討伐と第三次ミトリダテス戦争で独裁官を上回る権力を自身に集中させ、実力で反対する元老院を沈黙させた。スッラの元老院体制の強化はポンペイウスによって1世代持たずに崩壊する
★戦略とは実行するためのものであり、実行につながらない概念、言葉、思想は戦略でない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月21日
読了日 : 2021年3月21日
本棚登録日 : 2021年3月21日

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