戦争 (岩波現代文庫 社会 155)

著者 :
  • 岩波書店 (2007年7月18日発売)
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感想 : 6

『レイテ戦記』を訂正加筆中の1970年夏、3日間5時間ずつ大光社の編集者の質問事項に回答するかたちで語り下ろした半生録。大岡昇平入門に。なお「あとがき」に付された『朝日新聞』への文章は、大岡昇平を剥き出しにして一読の価値がある。

「われわれは昔から『なんとかなるだろう』とたかをくくる癖がある。実際それで戦後二十九年、なんとかやってきたのだが、この順応性の底にあるのは、自分一人なんとかなりさえすれば、他人はどうなってもいいというエゴイズムである。ところがこんどの危機はめいめいが勝手なことをしていては、とうてい乗り切れそうもない。柄にない説教めいたことはいいたくないが、何らかの意味で、他人といっしょに自分も助かる、という心構えがなければ、自他ともども一層ひどいところへ落ち込んでしまうような気がする」(『朝日新聞』1974.1.1)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年7月18日
読了日 : 2011年7月18日
本棚登録日 : 2011年7月18日

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