機長の失敗学

著者 :
  • 講談社 (2003年4月1日発売)
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感想 : 3
5

畑村洋太郎先生で有名な失敗学を航空事故にも適用,分析した書。
元機長の具体的な記述が多く,大変わかりやすい。

第一部は,85年のJAL123便の事故を分析している。

日本人は結果よりもプロセスを大切にする人種だといわれている。
御巣鷹山への墜落でもクルーたちは最善の努力を尽くしたということで,小さなミスは取り上げられることはないが,その小さなミスがなければあそこまでの大事故にならなかったのかもしれない。
そういった行為は,一歩間違えば死者や遺族に鞭打つと誤解されるものかもしれないが,それ以上に被害を拡大させないためには必要なものであると思う。実際に日航機墜落事故の7年後には米国にて似たようなトラブルが発生したが(日航機のトラブルから教訓を学んでいた機長は)最悪の事態は回避できている。

ここまで日航機墜落事故を技術的に詳しく解説した本は見たことがない。あんまり技術に明るくない人やそこまで詳細な原因を追究しようとしない人にはお勧めできません。

第二部では,他の事故も言及し,どのようにすれば事故を回避できたかを分析。

第三部では,プロフェッショナルパイロットとして普段の業務姿勢を綴っている。トラブル時には機長の判断力等の技術が要求されるが,日常的にその力量を判断するのは難しい。しかしながら,機長は平時から様々なことに気を配ってトラブルが起きないよう最善の努力をしている。
著者が実際に行ったプロフェッショナルな成功例(現状に満足せずにベストを尽くす)を挙げている。普段から飛行機に乗るときにも様々な努力が集結しているのだと,改めて実感した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年11月3日
読了日 : 2011年11月7日
本棚登録日 : 2011年10月17日

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