歌人河野裕子さんを私はこの本で初めて知りました。
著者の妻である河野さんが胸のしこりに気づいた夜から亡くなるまでの記録。その闘病の過程にはあまりにも生々しい著者との葛藤もあり、読んでいて辛い部分もありました。それでもだんだんと自らの死を受け入れて心の均衡を取り戻していく河野さんの姿の美しいこと。
最後の数日間は鉛筆を持つ力すらないながらも河野さんが口にする歌を、ご家族が口述筆記されたそうです。
河野さんの最後の一首は
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が
妻として母として娘として、そしてなにより歌人として、最後までほとばしるように歌を詠みながら生きた河野さんの姿に心を打たれます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
いろいろ
- 感想投稿日 : 2019年12月1日
- 読了日 : 2019年12月1日
- 本棚登録日 : 2019年12月1日
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