新装版 関東大震災 (文春文庫) (文春文庫 よ 1-41)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年8月3日発売)
4.06
  • (125)
  • (127)
  • (85)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 1095
感想 : 135
5

今まで、これほどまでの悲惨な災害だったとは知らなかった。本書の帯には

大震災で何が起きたのか。犠牲者20万人、空前の大災害の真実をあらゆる視点から掘り起した名作

と書かれている。でもこれはかなり控目な表現に感じた。20万人もの犠牲者はなぜ発生したのか。自分の備忘録として纏めます。

江戸から東京へ

地震の揺れによる建物の倒壊による圧死、これは想像できる。阪神淡路大震災だ。崩れた建物の下敷になって亡くなった人。
特にこの時代は江戸から東京に変わって60年。無理やりの西洋化と過去からの決別。伝統の途絶、都市化、江戸時代の災害やその対策方法を完全に忘れている。
水道が地震には極めて脆弱であることを忘れて、或いは無視しての市街地化。

多数の建物の倒壊

俄西洋風の煉瓦造りや瓦礫の散乱。
道路が塞がれて、消防活動や避難を困難に。

火災の発生

初期消火をすることなく家財道具を持って逃げる人々。自分の財産を守ることのみの意識、それが火を媒介した。避難場所に運び込まれた家財道具が燃えて避難民を焼尽くす。
被服工廠での地獄。逃惑う人々。炎の竜巻に巻込まれて。焼死体の山、川や池の死体の山。
死体から物を盗む人々。人身の混乱(パニック)

第二の悲劇

富士山噴火、朝鮮人による襲撃、社会主義者革命というデマ。流言飛語に乗じた略奪、暴行。
平素の差別意識の裏返しか。執拗且つ残忍な襲撃。
当初は役所、警察、軍も信じた結果、自警団組織など火に油を注ぐ。
情報不足、不安、パニックから野火の如く広がる。
集団ヒステリー、集団パニック、寄り掛ることの出来る物、不安から逃げるため。殺すことで自己正当化、自己確認。生きる意味を見つける?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2011年11月8日
読了日 : 2011年11月8日
本棚登録日 : 2011年7月16日

みんなの感想をみる

ツイートする