治部の礎

著者 :
  • 講談社 (2016年7月20日発売)
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感想 : 9
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高松城水攻めから関ヶ原合戦まで、三成の心情を諸将との関わりを交えて描いている。
悩み、煩悶しながらも自らの成すべきことを見出していく様が、よく描かれていると思う。自分にも槍働きはできると証明しようと飛び込んだ先駆け衆、賤ヶ岳の戦いでの加藤清正、福島正則とのやり取りは息を呑む。そして常に友として側にあり、厳しくも忠告し助力してくれる存在の大谷吉継と島左近との関係性には感動を覚える。
秀吉の老いとの戦い、秀吉に瑕を付けまいと嫌われものに徹し、故に理解を得られず裏切りを生んでしまう。三成の正しすぎる行いや冷徹な物言いに、反発を抱く者の多さ。如水などは一度は志を一にしたように見えるも、やはりわかり合うこと叶わず。三成の人間らしさがとてもよく分かるがだけに、勘違いを生む言動が残念でならない。この人がもう少し上手く立ち回れたなら、歴史はどう変わっただろうかとやはり考えてしまう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年8月18日
読了日 : 2022年8月18日
本棚登録日 : 2022年8月18日

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