今までになかった価値観、見方を示してくれる珍しい小説だった。
「夜間飛行」では無駄がとことん省かれた厳しい美、「南方郵便機」ではつかもうとするとふっと消えてしまうような儚いロマンチックなものを感じた。
「ただ空の星だけが、我らに真の距離を示してくれる。静かな生活、忠実な恋愛、なつかしい恋人、それらのものの在所をいま僕らに示してくれるのは、実にあの北極星だ……。」
彼らにとっては地の上の建物、人々、生活が全て遠い。常に空と闘い、しかし空のサインだけを頼りに進んでいく。
読みながら自分の世界が大きく、大きく広がっていく気がした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年1月2日
- 読了日 : 2021年1月2日
- 本棚登録日 : 2020年12月28日
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