この小説に出てくる登場人物たち・・・馬鹿一、白雲、泰山、空想先生は、人間とは何かを突き詰めて考えているようでなにか諧謔的であり、芸術に身を捧げているようでどこか韜晦的である。他者に依存して生きることを恥じない彼らの姿勢は、現代社会ではより受け入れられにくい存在かもしれない(戦後すぐでもそうだっただろうけど)。いかに偉そうに人生観を語っても「でも誰かに食わせてもらってんでしょ」と言われてしまうかもしれない。かつて食客だからこそ語れた人間礼讃は、今日では「ヒモが偉そうに語るんじゃねえ」になっているのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年9月29日
- 読了日 : 2023年9月28日
- 本棚登録日 : 2023年9月29日
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