茶色の朝

  • 大月書店 (2003年12月8日発売)
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感想 : 155
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 10年前に買って読んだ本。
 久しぶりに再度読んでみた。
 なぜって,今の教育現場が,あまりにも窮屈な感じがしたから。
 以前の先生達は,実にいろいろな服を着て学校に来ていた。授業参観や研究授業ともなると,低学年担当のおなご先生達は,可愛い服を着てきて,軟らかい雰囲気で授業をしていた。
 が,しかし,最近は,逆。お客様が来るというので,女性先生達も男性先生達もスーツ姿である。しかも,黒。だれかに,黒にしろ…と言われたわけでもないのに…である。
 いろんな研修会では,スーツを着ることがいつのまにか,当たり前になってきていた。とくに,年間20回以上もある初任者研修を受けてきた若者たちは,いつもスーツで出かけている。いつのまにか,そういう世界が学校の「普通」になりかけている。
 最初は,別にたいしたことがない…,私が合わせればいいんだから…と思っていたことが,あとでふり返るととんでもないことになっている。
 この学校での服装と,戦争とが関係がないと,本当に言えるのだろうか。スーツがふえるとともに,職員会議での発言が減っているのが,気になる。上意下達が,当たり前になってきた教育現場に,違和感を感じている。
 今,国全体が,茶色の朝を迎えようとしているのではないか。気づいたときには,もう,おそい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戦争
感想投稿日 : 2016年6月3日
読了日 : 2016年6月3日
本棚登録日 : 2016年6月3日

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