表題作はどこまでが現実でどこまでが非現実なのか、その境界がとても曖昧に感じられる話である。僕と謎の転校生「フリオ」とのつかの間の交流の話。子供の頃に秘密基地を作った時の、「知らない何処か」に繋がっているかのようなワクワク感を思い出す人が多いのではないだろうか。川の対岸の工場の四本の煙突が時に三本に見えるといった日常の些細な不思議がずっと後を引く読後感。自分の記憶の回路を少しだけ弄られたような気がした。
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- 感想投稿日 : 2010年5月1日
- 読了日 : 2010年5月1日
- 本棚登録日 : 2010年5月1日
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