今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫 97 ビギナーズ・クラシックス)

著者 :
制作 : 角川書店 
  • KADOKAWA (2002年3月23日発売)
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膨大な古典であるにもかかわらず、謎多い奇書、それが、今昔物語集である。

1120年ごろに成立しているようだが、作者もわからないし、成立時の資料もなく、しかも、600年近くも歴史の闇に眠っていた書なのである。

膨大なライブラリーなのに、その痕跡すら歴史には残っていない。

今は昔 で始まる冒頭、となむ語り伝へたるとや で終わる文末 できわめて独創的な形式でできている。

説話集、それも、インド:天竺部、中国:震旦部、日本:本朝部(仏法部、世俗部)からなっていて、31巻千数十話に及ぶ。

今昔物語集をよみがえらせたのは、芥川龍之介である。
「羅生門」「鼻」「芋粥」は、今昔物語集から取材している。

安倍晴明、弘法大師の法力合戦、前妻のミイラと交わう男、
女の生霊が夫ととりころす、平安京の夜に跳梁跋扈する百鬼夜行。
広大な今昔物語集の人生観、世界観に魅了される。

目次

インド(天竺)・中国(震旦)部
・志をたて、王妃マヤ夫人の腹に宿るシャカボサツ
・悟りを開いて、ブツダとなったシッダールタ太子
・死に臨んで、息子ラゴラに父の情愛を示すシャカ
・この世の親子の情愛も通用しないあの世の現実
・炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ
・盗みに失敗して親を殺した過去をもつ新人の国王

日本(本朝)部
・法力を競い合い、ライバルを祈り殺した弘法大師
・美女の色しかけのおかげで、学者となった青年僧
・洪水に流され、愛児を捨てて老いた母を助けた男
・清少納言の夫、剛刀一閃、強盗一味を斬り捨てる
・力士を杖のように振りまわした怪力のチビ学生
・矢竹を指で押し砕き、強盗もふるえた怪力の美女
・画伯と名工の大勝負―死体画像とからくり仏堂
・美人患者の色香にふりまわされた好色の老医師
・陰陽道の大スター安倍晴明が操った恐るべき呪術
・紫式部の父、絶妙の詩によって念願の国守となる
・以心伝心の妙技で馬盗人を射殺した武人の親子
・捨てられた女の生霊、薄情な相手の男をとり殺す
・捨てられて窮死した前妻のミイラと愛し合った侍
・変装した自分の妻に言い寄り、なぐられた軽薄男
・全裸になって追いはぎを笑わせ、危機を逃れた役人
・長大な鼻をゆでては脂抜きをする高僧の食事風景
・谷底に落ちても茸取りをする、がめつい役人根性
・色香と鞭で若い男を調教する、盗賊団の美人首領
・死体の捨て場所だった羅城門のある夜のできごと
・名刀と交換した弓矢でおどされ、妻を犯された夫
・部下の公文書を偽造させ、殺害した極悪非道の上司
・天下の色事師を焦がれ死にさせた氷のような美女
・妻の悪口に乗せられ、老いた姨母を山に捨てた夫

解説
 「今昔物語集」 作品紹介
付録
 「今昔物語集」探求情報
 「今昔物語集」組織内容
 官位相当表
 「今昔物語集」参考地図

ISBN:9784043574094
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:290ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2002年03月
発売日:2002年03月25日初版
発売日:2005年11月05日9版

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カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月19日
本棚登録日 : 2023年7月19日

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