NOISE 下: 組織はなぜ判断を誤るのか?

  • 早川書房 (2021年12月2日発売)
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下巻は、統計的な手法から距離を置き、各人の資質、個人の判断を中心として、バイアス、ノイズの排除に関する考察です。

下巻の範囲は以下

第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中から)
第5部 判断を改善しエラーを防ぐ実際的な問題への取組み
第6部 ノイズの適正水準はどの程度なのか。経済的な要請からの考察

終章に展開される結論は以下です。

人間の判断を補うために、今日よりずっと幅広くアルゴリズムが導入されるようになる
複雑な判断はシンプルな媒介評価項目によって分解される
できるだけ多くの独立した判断を集めて統合される。
統計的な視点が組織的な判断プロセスに組み込まれるようになる。意見の不一致が表面化するようになり、それを建設的に解決できるようになる
その結果、ノイズの少ない世界が実現され、無駄な支出や、損失が大幅に減り、公共の安全と健康が改善される。

下巻にて気になったことばは次です。

・良い判断は、良い人材から。専門家の中には、同業者から尊敬されるリスクペクト専門家がいる。
・IQ(知能指数)よりも、GMA(一般知的能力)とよい判断との相関性がある。つまり、知的であれば、判断もよりよくなる。
・認知スタイル:判断すべき問題に直面したときのアプローチ 問題を深く考えるタイプか、それとも、直感的に判断をするタイプか。
 あきらかに、直感的に判断をするタイプの方が、判断エラーを犯しやすい
・判断からバイアスを排除する方法は2つある。
 事前方式 体重計がくるっている場合、事前に調整をして、計測の結果を正確にする ⇒ナッジという
 事後方式 体重計がくるっている場合、計測して、誤差を計測結果から修正する
・バイアスは存在するが、すべてを排除することはできない
・リアルタイムでバイアスを排除するアプローチ:オブザーバー
・判断ハイジーン:ノイズは予測不能なエラーであるが、ノイズを減らすアプローチ
  バイアスの排除⇒病気の治療
  ノイズの排除 ⇒予防的な衛生管理:これを判断ハイジーン という
・予測精度の向上:各判断者には、状況や他判断者の判断結果を知らせずに情報を与える。それぞれの判断を最後に総合的に判断する
・判断にガイドラインを利用する
・グーグル面接の3つの原則
 ①媒体評価項目 構成要素に分解し、ガイドラインとして作成する
 ②独立:評価項目ごとに質問し、情報を収集し、個別に評価する。項目ごとに独立して行う
 ③総合判断:最後の最後まで判断を遅らせる

・ノイズの排除 ノイズをゼロにすることはできない
・アルゴリズムはノイズを排除するがバイアスを排除できない
・データにバイアスがかかっているケースがある
・ノイズを削除するためにルール化をするのかそれとも規範とすべきか。ルール化するためには、多様な人々の賛同を得にくい。

目次は以下です。(上下巻 通し)

上巻

序章 二種類のエラー

第1部 ノイズをさがせ
 第1章 犯罪と刑罰
 第2章 システムノイズ

第2部 ノイズを測るものさしは?
 第4章 判断を要する問題
 第5章 エラーの計測
 第6章 ノイズの分析
 第7章 機会ノイズ
 第8章 集団によるノイズの増幅

第3部 予測的判断のノイズ
 第9章 人間の判断とモデル
 第10章 ルールとノイズ
 第11章 客観的無知
 第12章 正常の谷

第4部 ノイズはなぜ起きるのか
 第13章 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ
 第14章 レベル合わせ
 第15章 尺度

下巻

 第16章 パターン
 第17章 ノイズの原因

第5部 よりよい判断のために
 第18章 よい判断はよい人材から
 第19章 バイアスの排除と判断ハイジーン
 第20章 科学捜査における情報管理
 第21章 予測の選別と統合
 第22章 診断ガイドライン
 第23章 人事評価の尺度
 第24章 採用面接の構造化
 第25章 媒体評価プロトコル

第6部 ノイズの最適水準
 第26章 ノイズ削減のコスト
 第27章 尊厳
 第28章 ルール、それとも規範?

まとめと結論 ノイズを真剣に受け止める
 終章 ノイズの少ない世界へ

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感想投稿日 : 2022年5月22日
本棚登録日 : 2022年5月1日

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