ゴッホ殺人事件 上 (講談社文庫 た 43-43)

著者 :
  • 講談社 (2005年4月1日発売)
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本棚登録 : 130
感想 : 16
4

<上下巻読了>
 幻の名画を巡る、美術ミステリ&国際謀略サスペンス。
 前半はゴッホ他殺説がスリリングに展開し、後半は作品群に仕掛けられた二重構造が明かされる。
 一連の事件の手口における細かい検証には重点が置かれず、あくまでエピソードの位置付けとして、背後にゴッホ作品の真贋と時代の思惑が重ねられる。
 美術史や世界近現代史に精通してなくとも、充分読ませる勢いがある。
 推理物の中でも、トリック云々に終始する代物より、こういった歴史と人間の生を絡めた謎解きの方が面白い。
 余韻や思索、興味の連鎖を招くのが良い。
 尚、作中でゴッホの死因よりも重要な問題とされる、『天才が無視される原因』という根本的な疑惑は残されたままにある。
 現実の研究成果を待たなければならないにしても、作品を目前にしての身動(みじろ)ぎできないほどの衝撃を顧みれば、上記の謎が解明されればと思えてならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(ミステリ・サスペンス)
感想投稿日 : 2011年3月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年3月14日

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