沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2001年12月26日発売)
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御巣鷹山航空機事故を受けて、後任人事として全く業種の異なる会社に会長職を要請した。世間の風当たりが強い会社の会長職に就くというのは、爆弾飛び交う戦場に突如派遣されるようなもので、受けた人間の覚悟も相当なものに感じる。抜本的な社内改革のために政府主導で依頼されたものではあるが、当然旧体制化で甘い汁を吸ってきた輩からはきつい反発があり、事故から1年経っても改革は進まない。
 自分の身を案じること(地位など)に一番の人間、そのためには他者のことなどお構いなしという風潮は今の世の中でも変わることなく、特に組織の中でいい地位にいる人たちに多く存在し続けているように思う。それを変えようとすると異端とも捉えられかねない。会社再建の道のりは果てしなく遠い。

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感想投稿日 : 2020年5月30日
読了日 : 2020年5月30日
本棚登録日 : 2020年5月27日

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