結婚詐欺師の正体が分かり、警察によって徐々に迫っていく下巻。下巻の主役は元恋人が追いかけていた詐欺師に落ちてしまったことを知った刑事。元恋人を助けたい思いと今手出しすれば犯人に逃げられてしまうという状況の板挟みになった苦悩を描いている。
登場人物の心理描写が丁寧に描かれていて、まるで映像を見ているかのように情景が思い浮かぶ。
詐欺師が人を人と思ってはいないのは現代横行している詐欺にも共通の感覚。お金が欲しいという思いもあるだろうが、それよりも騙し抜くことに快感を覚えるのだろうと思う。一種の依存症状と言ってもいいのかもしれない。そして騙されたほうはそれを認めることがなかなかできない。プライドなのか意地なのか、自分だけは特別な存在だと思っているのか、そのあたりのことはよくわからないが、そうした思いも詐欺師にとっては格好の標的になっているような気がする。
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- 感想投稿日 : 2019年10月28日
- 読了日 : 2019年10月28日
- 本棚登録日 : 2019年10月26日
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