有名なシリーズですが、今更ながらの挑戦です。「建築探偵」と銘打ってあるので、本格ミステリでは王道だけどだけに抗いがたい魅力の「館モノ」に期待してしまいました。
これについて、登場する屋敷はスペイン建築独自のパティオ(中庭)、それに纏わる不可解な様式など、「いかにも」な雰囲気は充分。しかし、その設定を生かす様な大仕掛やアリバイトリックの"派手さ"は乏しく、肩透かしを食らった印象でした。
ただし、「建築探偵」らしく建物に籠もる故人の思いを読み解く解決編は、感情面でのどんでん返しを食らい、驚きは少なくとも温かな気持ちになります。いかんせん感情面を紐解く為、明確な物的証拠による解決ではなく探偵役の想像力に頼るものなのは、ミステリとしては寂しい気もしますが…。
普段はボサッと、けれど素顔は実は美形の名探偵なんて、なんて古風な少女趣味かと思いましたがなかなか登場人物も面白かったです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ・ハードボイルド
- 感想投稿日 : 2011年7月20日
- 読了日 : 2009年5月4日
- 本棚登録日 : 2009年5月4日
みんなの感想をみる