12月に入ったらクリスマスまで一日一個づつチョコや小さな玩具の入った扉を明けていく、クリスマスを待ちわびながら…
そんなアドヴェント・カレンダーをモチーフにした作品。
主人公の少年・ヨアキムが手に入れたアドヴェントカレンダーにはチョコでも玩具でなく小さな紙切れが入っていた。
ただの紙切れではない、一人の少女がノルウェイからベツレヘムへ向かう巡礼を描いた小さな物語が書かれた一遍の紙。
ヨアキム視点の現代を舞台したストーリー、
彼が紙切れから読み解く少女が時をさかのぼりながらベツレヘムへ向かう幻想的なストーリー、
二つの物語が12月1日から24日まで、一日刻みに作中作の形式で描かれており、
自然と先が気になってしまう構造は巧いです。
ヨアキム視点では、少女の行方や彼女が実在の人物なのか、カレンダーは誰が作った者なのか…など謎を探求するミステリな要素を、
打って変わって幻想的な少女視点のストーリーでは巡礼の旅に一日一日増えていく天使や賢者などの同行者を交えキリスト教の歴史や哲学を少しづつ学べる、
と全く味の異なる、一粒で二度美味しい作品です。
ただ、真実としてはミステリ的にはそこまで「あっ」というものではありませんでした。
が、「平和」を説くキリスト教の教えや、それと相対した少女の境遇、今も変わらず存在する戦火…そういうものがラストで二つの物語をまとめあげた上にテーマとしてしっかり掲げられているのは見事。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ・ハードボイルド
- 感想投稿日 : 2011年7月21日
- 読了日 : 2006年2月15日
- 本棚登録日 : 2010年2月15日
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