誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2016年3月3日発売)
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本棚登録 : 261
感想 : 41
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上木らいちの元に、とある有名企業の社長から「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。その邸宅である異形の館に出向くと、どうも様子がおかしい。そこに連続殺人が発生!
一方、高校生の戸田公平は、資産家令嬢の埼と出会い、つきあうことに。埼の招待で深夜こっそり彼女を訪ね結ばれたものの、翌朝埼の父親に見つかり通報されてしまう。大人っぽく見えた埼は実は17歳で、公平は条例違反で逮捕されることに。

社会派と本格とエロが融合した見事なミステリ。○る館のトリック自体は古典派ミステリでよくある手法だが、その設定の活かし方や伏線の張り巡らし方が上手い。連続殺人の謎だけでなく、「なぜらいちはメイドとして呼ばれたのか」「らいちに手紙を送ったのは誰なのか」そして「東京のらいちの事件と埼玉の戸田公平の事件がどうつながるのか」といった謎が終盤一気に解決しすべてが繋がるのは圧巻。早坂氏の作風とも言うべきエロももちろん健在で、それすらも謎解きに活かされているのがすごい。その上、「罪とは何か」「法の裁きとは何か」といったことまで考えさせる要素もあるとは。一見バカミスみたいに見えて、実はロジカルに作り込まれている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 早坂吝
感想投稿日 : 2016年6月2日
読了日 : 2016年6月2日
本棚登録日 : 2016年6月2日

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