生まれる森

著者 :
  • 講談社 (2004年1月29日発売)
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本棚登録 : 1294
感想 : 222
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静かに時が流れる中で様々な愛に触れ、少しずつ変わっていく少女の姿を描いた物語。

透明感がある雰囲気の中で紡がれる文章が、重くなく瑞々しい。

ページ数は多くないのでスラスラ読めるかと思ったが、実際はその透明感がある雰囲気にゆっくりと熟読してしまった。
初めて読んだ島本理生作品一冊目で、世界観に巧く入り込んで読むことができました。

この物語の雰囲気が好きです。

そして雪生が…素敵だ。
私も雪生みたいな素朴で聡明な人が側にいてくれたら…と考えてしまう。
ただ、側に寄り添ってくれるだけで救われる。
この雪生の人柄が好きです。雪生の妹・キクちゃんも好き。
登場人物全員がどこか…透明感があって愛が溢れている。
登場人物たちにハズレがない。
そして物語構成に無駄が無くシンプルなのに、胸に突っかえる痛みを少しずつ溶かしてくれます。

1つのきっかけで少しずつ変わっていく少女の姿が「再生」を描いているなら、
この「生まれる森」というタイトル名が、儚くて愛おしい。

タイトル名にピッタリの物語でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年10月31日
読了日 : 2011年10月8日
本棚登録日 : 2011年10月8日

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