教場

著者 :
  • 小学館 (2013年6月19日発売)
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警察学校の学生達と教官•風間が織りなす警察官の育成を描いた連作短編集。
警察学校を舞台とした警察小説というモチーフはユニーク。巻末の参考文献を見ると、相当な調査と取材を経て書かれた小説であることが伺える。警察学校は私には無縁の世界だが、本書に描かれているように「必要な人材を育てる前に、不要な人材をふるい落とす場」だとすると、実に過酷な世界だ。
全6話構成で各話で視点となる主人公の学生が入れ替わる。一癖も二癖もある学生達が、腹の探り合いをしながら苦難に直面して乗り越える。それを並外れた観察力と洞察力で見通した上で見守る風間教官。過酷な修羅場にそこまでやる?と訝しむ場面もあったが、最終話で語られる彼の矜持があってこそだと考えると腑に落ちた。
「警察官という仕事には度胸が欠かせない。ぎりぎりでの戦いを経験できなかった人間にはそれがないから、第一線では使い物にならない。」

そこかしこに伏線が張られているのと場面が急に切り替わる構成のため、読みやすくはなかったが、職務質問や臨場など実習を通して警察官の仕事のノウハウが垣間見れる部分は興味深く読んだ。

クセの強いキャラクターが多いので映像化向きだと思ってたら、2020年にドラマ化済みで風間役はキムタクですか…適役。

週刊文春ミステリーベスト10 1位
このミステリーがすごい! 2位
本格ミステリ・ベスト10 22位
本屋大賞 6位
ミステリが読みたい! 4位

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察小説
感想投稿日 : 2024年2月17日
読了日 : 2024年2月17日
本棚登録日 : 2024年2月13日

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