THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本

  • 太田出版 (2016年8月17日発売)
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イギリス在住の保育士でライターの「フレディみかこ」氏が、2015年・日本滞在時の取材をもとに書いた最新著。友だちに教えてもらって読みました。

的確な日本の現状に対する分析、これからの日本を考える上でもとても示唆的な内容をもった本だと思います。

特に印象に残ったのは、「ミクロ(地べた)」を「マクロ(政治)」に持ち込むという視点。当事者の実態(誰かがきちんと代弁すること含めて)があり、具体的に改善するための政策(政治)が大事であることを改めて考えました。どう伝えられるか、その観点を大事にしたいと思いました。

保育に対するイギリスと日本考え方の違いなどもよくわかりました。一億総中流に関する分析なども大いに納得です。エピローグのカトウさんの話もよかったです。

みなさんにお勧めします。

目次…

まえがき

1、列島の労働者たちよ、目覚めよ

キャバクラとネオリベ、そしてソウギ
何があっても、どんな目にあわされても「働け! 」
労働する者のプライド
フェミニズムと労働]
今とは違う道はある

2、経済にデモクラシーを

経済はダサくて汚いのか
貧乏人に守りたい平和なんてない
一億総中流という岩盤のイズム
草の根のアクティヴィストが育たない国
ミクロ(地べた)をマクロ(政治)に持ち込め
反緊縮派とはいったい何なのか
いま世界でもっともデモクラシーが必要なのは

3、保育園から反緊縮運動をはじめよう

保育士配置基準がヤバすぎる衝撃
紛れもない緊縮の光景
日本のアナキーは保育園に
ブレアの幼児教育改革は経済政策だった
保育園と労働運動は手に手を取って進む
ネオリベ保育とソーシャル保育
待機児童問題はたぶん英国でも始まる

4、大空に浮かぶクラウド、地にしなるグラスルーツ

日本のデモを見に行く
交差点に降り立った伊藤野枝
でも・デモ・DEMO
クラウドとグラスルーツの概念
あうんストリートと山谷のカストロ
反貧困ネットワークへのくすぶり
新たなジェネレーションと国際連帯

5、貧困の時代とバケツの蓋

川崎の午後の風景
鵺の鳴く夜のアウトリーチ
人権はもっと野太い
あまりにも力なく折れていく
どん底の手前の人々
もっと楽になるための人権

エピローグ カトウさんの話

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2017本
感想投稿日 : 2017年3月28日
読了日 : 2017年3月19日
本棚登録日 : 2017年2月5日

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