美しい距離 (文春文庫 や 51-2)

  • 文藝春秋 (2020年1月4日発売)
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本棚登録 : 993
感想 : 82

医師と余命の話になり、「私たちは希望をもっています」と伝えたときの真意の伝わらなさ。
がんが消える、治ると思ってるわけではなく、近く訪れる死を了解しながらも、それでも希望をもって生きるという意思を示したのだ。
主人公の視点で読み進めていたから切実に伝わったけど、医師の立場だったら自分も訂正してしまいそう。
他者からの悪気のない言葉。勝手な解釈。
次々ぶつけられるそれらに苛立ち、傷付き、疲弊する。でも今この瞬間に、希望をもっている。
強い人だ、と思ったけど、これも私の見方でしかない。
強くも弱くもない、ただその人として生きてるだけ。
自分が他者を消費していることにもっと敏感になりたい。

将来必ずこの本に助けてもらうことになる。
読めて本当によかった。自分の本棚にこの本があることが心強い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月22日
読了日 : 2023年6月22日
本棚登録日 : 2023年6月22日

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