山口瞳作品初挑戦でしたが、ぐっとはまってしまいました。文体が好きなのかも。
主人公が大正14年生まれ、現在の年齢で言うと89歳、自分の祖父母ぐらいの世代になります。その戦前世代が働き盛りな時代の生活を垣間見ているような気分で、今と変わらない喜怒哀楽に共感を感じたり、逆にギャップを感じたり。
冒頭、江分利満氏の生活は少し抽象的で、ショートショート短編のような毎日から始まります。社宅で暮らす江戸っ子的な、それでいて都会的な一家は、物語が進むと様々な困難にぶち当たるわけです。その度に涙を流し、誰かの助けを受けて生き抜く江分利一家は、その肉付けの末、気付けば冒頭の抽象的な一般家庭などではなくなっているように感じられます。
でもこれってもしかしたら、どこの家庭も同じなのかもしれないなぁと思います。困難にぶつかる度に強くなる家族の愛は、皆が持っているもので、つまりだからエブリマンなんだと気づくのであります。
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- 感想投稿日 : 2014年11月26日
- 読了日 : 2014年10月31日
- 本棚登録日 : 2014年10月29日
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