教養としての上級語彙: 知的人生のための500語 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (2022年11月24日発売)
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感想 : 22

難しい単語がどっさり登場しますが、
すべてわかりやすい解説がついているので毎回スッキリ。
しかし

〈語彙には「理解語彙」と「使用語彙」とがあるという。
理解語彙とは、文章を読んだり、話を聞いたりしたときに
意味のわかる言語群のことだ。
一方、使用語彙とは、実地で書いたり、喋ったりして、
能動的に使うことのできる言語群をいう。
日本語学者の石黒圭は、
この二つの語彙を習熟の段階とみている。
そもそも使える語彙よりも知っている語彙の方がはるかに多い。
そして「人間が語彙を習得するときには、
かならずまず理解語彙になって、
それから使用語彙になる」過程を経る。
理解する(読解する、聞き知る)だけならば
大雑把な語釈であっても何とかなるが、
使用する(書く、話す)となると
高い精度の言語処理が必要となる、ということだ。
一般に語彙を増やす、語彙力を高めるための
ボキャビル本(語彙増強のための本)は、
例えば意義や用途ごとにリストを掲げ、
言葉ごとに語釈や用例を示して、
できるだけ理解語彙を増強しようとするものが多いように思う。
それは決して間違った習得法ではない。
しかし、本書はそれとは異なるアプローチを示した。
すぐさま理解し、いきなり使用(=表現)できるように、
自分自身が語彙を習得し、使用に耐えるくらいに習熟した過程をそのまま追体験してもらうことに主眼をおいたのだ〉

と宮崎哲弥さんは仰いますが、
私のレベルではご期待に応えられそうもありません。

でも「理解語彙」レベルで十分に楽しい読書ができたので
ちょっといつもより頭を使いましたし
利口になった気がして
読んでとても良かったです。

今後は、やはり本をたくさん読んで、
少しずつでも上級語彙になじんでいきたいし
(ネットより本の方が、正しい使い方をしている。
著者も編集者もインテリだから)
正しい読み方をできるように努めたいと思います。

〈本書は世の趨勢に抗う蟷螂の斧のごときものだ〉

●すうせい【趨勢】物事がある方向に動き向かう勢い。
社会や世間などの大きな流れ、成行き。
●蟷螂の斧とうろうのおの(蟷螂カマキリが前脚をふりあげて、大きな車の前進を阻もうとしているさまから)
弱小の者が己の非力もかえりみず、
強大な敵に立ち向かう様子。
はかない反抗の喩え。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆本と言葉☆
感想投稿日 : 2023年4月14日
読了日 : 2023年4月14日
本棚登録日 : 2023年4月14日

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