あなたが変わるまで、わたしはあきらめない

  • 光文社 (2009年5月22日発売)
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このたびのリオデジャネイロ五輪で、選手以外でもっとも目立ったのは、この井村雅代さんではないでしょうか。
私は初めて彼女という人を知りました。

いろいろためになる内容満載でしたが、、そのうち特に二点、今この時の私にタイムリーであった事を書いておきます。

コーチは失敗しても成功してもすべて経験になる。
でも選手はやり直しがきかない。
同じときは二度とこない。
自分の経験のために選手を実験台にするわけにはいかない。

井村さんが小学生時代から育てあげた奥野史子さんが、世界の頂点が見えた瞬間、次は金メダルと思った矢先、22歳で引退を決意しました。
とつぜん「やめます」と言われたことで、指導者として悩み、途方に暮れたそうです。
「わたしのやり方は正しかったのか」と、自分を責めます。
これほど悲しいことはありません。
たとえ周りの人がどんなに慰めてくれても。
そこで、彼女はもういちど同じように選手を育てようと。
それでまた同じようにやめられたら、そのときはシンクロコーチをやめようと思ったそうです。

その奥野さんですが、その後同志社大学同級生だった陸上短距離選手の朝原宣治さんと結婚、彼をサポート。
朝原さんの北京五輪の銅メダルの後押しをするのですが、その前のアテネ五輪のあと、引退を考える夫に「ボロボロになるまでとことんやったらええ」とアドバイスしたそうです。
その言葉はまさに井村さんが奥野さんに言った言葉でした。

それを読んで私が思ったのは、今失敗したように見えていても、そのあとに形が変わって成功の姿が見えて来ることもあるということです。
目の前の結果に一喜一憂しないで、長い目で、正しいと思うことを積み重ねていきたいと思いました。
余談ですが、朝原さんご夫婦のお子さんはどんなスポーツをしているのかしら?陸上と水中の、ふたつのメダルをもつ親がそろっていて。

もうひとつのタイムリーな件。
2004年アテネ五輪で彼女は日本代表コーチを退任し、2008年の北京五輪にむけ中国代表チームヘッドコーチに就任します。
日本とのいろいろな違いに驚くことがたくさんあります。
「練習後にアインシングもしないから、『アイシングしなさい』と注意したこともあります」

私自身、この一か月足が痛くて、でもぜったい誰にも知られたくなかった。
そしてこの文を読んで「この二年間アイシングが頭からすっかり消えていたこと」に気づきました!
こんなに本を読みまくっているのに、TVも見てネットも見て、誰もアイシングの大事さを教えてくれていなかった。

この本を読んで良かったです。
またいろいろな世界を覗いてみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆スポーツ☆
感想投稿日 : 2018年3月31日
読了日 : 2016年8月27日
本棚登録日 : 2016年8月27日

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