直江兼続 (学研M文庫)

著者 :
  • 学習研究社 (2004年11月10日発売)
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本棚登録 : 107
感想 : 20
4

(2009.05.17読了)
2009年NHK大河ドラマ、「天地人」の主人公「直江兼続」を描いた小説です。
小説家というのは、凄い、と思う。同じような材料を使いながら、10人の作家がいれば、10種類の異なる小説が出来上がる。
この小説は、樋口与六兼続の初陣から始まっている。15歳で初陣を飾り、その時の兜の前立てに「愛」が使われている。導入部で、上手に使っている。
川中島の闘いで、山本勘助が考えたといわれるキツツキ戦法については、そのようなものは存在せず、単なる霧が晴れたことによる遭遇戦としています。
織田信長が武田勝頼を破った設楽が原の闘いについて、馬防柵を作って、火縄銃による三段射ちによって、武田の騎馬軍団を破ったとされることについて、火縄銃が熱をもつので、不可能としています。と、言いながら、直江兼続が工夫によって、三段射ちを実用化させたというに至っては、直江兼続を目立たせるための論のような気もします。
また、家来同士の諍いで、殺された息子を生き返らせて返せと無理を言う親に対して、それでは迎えに行けと、閻魔大王への手紙を持たせて殺した、という言い伝えについては、そのようにするぞと脅してあきらめさせたことにしてあります。
情報収集については、直江家専属の忍び集団がいたことにして、話を進めています。時代小説では、よくつかわれる手法です。
400頁ほどある本ですが、結構面白く読めました。

●「死中に生あり、生中に生あり」(37頁)
「どのような死中にも生きる望みはある。いわんや、生きていることに本当の生があるのじゃ。どのような死地に立っても、死ぬまで生きることじゃ。死ぬ方が生きることよりも楽だと思えることが、これから何度もあろう。しかし、どちらかを選ぶとしたら、生きることを選択すべきだ。生きることで道は必ず開ける」
(2009年6月10日・記)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 直江兼続とその周辺
感想投稿日 : 2009年7月26日
読了日 : 2009年5月17日
本棚登録日 : 2009年5月17日

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