ある日、カルカッタ (新潮文庫 た 76-1)

著者 :
  • 新潮社 (2004年2月1日発売)
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感想 : 12
5

(2005.01.03読了)(2004.09.10購入)
この本には、10篇の紀行エッセイが収められています。訪れた国は、インド、インドネシア、フィリピン、アメリカ、韓国、ベルギー、ノルウェー、チェコ、日本といったところです。目的は、撮影、観劇、ギャンブル、ビール、彫刻、小説の追体験と様々あります。

●カルカッタ
カルカッタを舞台にしたドキュメンタリー映画を作りたいという鈴木健介さんに誘われてインドのカルカッタへ行った際の紀行文。(僕は、1980年の暮にインドへのパック旅行に参加しようとして、上司に休暇願いを出したけれど許可されず行けなかった思い出がある。)
・交通信号について(信号は昔あったけど今はないという)
「信号はかえって危険ね。守る人と守らない人います。信号だけ見て走っていると、必ず事故起こる。それよりも、みんなが周りを見ながら運転するのほうがいいよ」
インドには、カーストといわれる身分制度があるので、とんでもない金持ちから路上生活者までとてつもない差がある。いろんな身分の人たちをたずねその驚きがつづられている。
・折り紙について
「インドにも折り紙というものがあることを知り、驚いた。インドの子供たちに、得意になって鶴を折って見せると「わー、僕にも紙を貸して」と折り紙を取られてしまう。そしてみんな器用に鶴や舟や花を折って見せるのだ。それが日本の鶴や舟と微妙に形が違うのも、面白い。」
・結婚式
伝統的な結婚式についてインドで知り合ったコーディネータの娘さんの結婚式に招待されて、その模様を記述している。
●ラスベガス
カジノでルーレットやブラックジャックで真剣勝負?スリルを味わうための旅の紀行文。
親分と姐御と一緒に行ったので、賭け方をいろいろアドバイスされながら勝負する。
ブラックジャックについては、「必勝法」の本を3冊も読んで乗り込んだとか。
この後、韓国のカジノめぐりのたびの話も載っている。
(俵万智さんの意外な側面を見せられてしまってちょっと面食らってしまった。)

☆関連図書(既読)
「ふるさとの風の中には」俵万智著・内山英明写真、河出書房新社、1992.11.30
「三十一文字のパレット」俵万智著、中公文庫、1998.04.18
「トリアングル」俵万智著、中央公論新社、2004.05.25
「みだれ髪 チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.07.06
「みだれ髪Ⅱ チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.10.09

(「BOOK」データベースより)amazon
いくつもの旅の中から、歌人のまなざしで選び抜いた十の場所。カルカッタ、バリ、ブリュッセル、ラスベガス、プラハ、オスロ、京都・桂離宮…。それぞれに印象的な光景、歴史の足跡、現地の人々との交歓、抱き上げた子どもの温もりなど、心に残る旅の場面を、三十一文字がしなやかに掬い取る。文章と短歌が寄り添い、響き合い、きらめく言葉の余韻が旅情を醸す、珠玉の紀行エッセイ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 俵万智:歌人
感想投稿日 : 2010年1月27日
読了日 : 2005年1月3日
本棚登録日 : 2005年1月3日

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