司馬遼太郎スペシャル 2016年3月 (100分 de 名著)

著者 :
制作 : 磯田道史 
  • NHK出版 (2016年2月25日発売)
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感想 : 14
5

(2016.04.01読了)(2016.02.26購入)
Eテレの「100分de名著」の放送テキストです。
今回は、司馬遼太郎さんの著作を取り上げて、司馬さんが読者に日本の歴史からどんなことを学んでほしかったのか、を読み解いてくれています。
主に取り上げている作品は、『国盗り物語』『花神』『「明治」という国家』『坂の上の雲』『この国のかたち』といったところです。
NHK大河ドラマを見ながら、いつの間にかたくさんの司馬遼太郎さんの作品を読んできましたが、『花神』は、まだ読んでいなかったので、この機会に読んでみようかなと思います。

【目次】
【はじめに】司馬さんからのメッセージ
第1回 「戦国」から読み解く変革力 『国盗り物語』を中心に
第2回 「幕末」に学ぶリーダーの条件 『花神』を中心に
第3回 「明治」という名の理想 『「明治」という国家』を中心に
第4回 「鬼胎の時代」の謎 『この国のかたち』を中心に

●歴史をつくる(8頁)
司馬さんは、ただの歴史小説家ではありません。「歴史をつくる歴史叙述家」でした。
歴史というのは、強い浸透力を持つ文章と内容で書かれると、読んだ人間を動かし、次の時代の歴史に影響を及ぼします。それをできる人が「歴史をつくる歴史家」なのです。
●歴史に影響を与えた歴史家(9頁)
小島法師『太平記』
頼山陽『日本外史』
徳富蘇峰『近世日本国民史』
●動態の文学(14頁)
司馬さんの文学というのは、時代のダイナミズムや社会の変動を描く「動態の文学」です。徳川幕府や全国の諸藩があるとするならば、それがどうやってできたかに考えをめぐらせ、それをつくる諸々の力を描く。あるいは、幕府や藩が逆にどのように壊れ、敗れていったのか、どんな力がそこに働いたのかを考察し、その様子を描いていく。動態のエネルギーがどのように生じるのかということを国民の眼前に見せる文学です。
●信長(19頁)
すべては、信長からはじまった。近世の基本については信長が考え、かつ布石した。
信長は、すべてが独創的だった。
●「国盗り物語」(31頁)
司馬さんがこの物語で描きたかったのは、その後の日本、あるいは日本人の在り方の二つの側面だと思います。ひとつは、合理的で明るいリアリズムを持った、何事にもとらわれない正の一面。そしてもうひとつは、権力が過度の忠誠心を下のものに要求し、上位下逹で動くという負の一面。
●大村益次郎(43頁)
変動期には大村のような合理主義的な人物が登場して日本を導くが、静穏期に入ると日本人はとたんに合理主義を捨て去る。
●リーダー像(46頁)
司馬さんが描きたいリーダー像というのは、国を誤らせない、集団を誤らせない、個人を不幸にしない、ということに尽きると思います。

☆関連図書(既読)
「国盗り物語(一)」司馬遼太郎著、新潮文庫、1971.11.30
「明治という国家」司馬遼太郎著、日本放送出版協会、1989.09.30
「坂の上の雲(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
「この国のかたち(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1993.09.10
「龍馬史」磯田道史著、文藝春秋、2010.09.30
「NHKさかのぼり日本史⑥江戸」磯田道史著、NHK出版、2012.01.30
(2016年4月6日・記)
内容紹介(amazonより)
二十一世紀を生きる私たちへ
作家・司馬遼太郎が亡くなって20年、日本はいま大きな転換期にある。『国盗り物語』『花神』『「明治」という国家』『この国のかたち』を題材に、日本と日本人の未来について考える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 100分de名著(日本)
感想投稿日 : 2016年4月6日
読了日 : 2016年4月1日
本棚登録日 : 2016年3月31日

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