満月 空に満月 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年10月11日発売)
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感想 : 10
5

(2003.10.30読了)(2003.10.29購入)
井上陽水が生まれてから氷の世界で大ブレークするまでのお話です。
井上陽水は1948年8月30日に福岡県で生まれた。筑豊の炭鉱地帯である。
父親は、井上若水という高知県出身の歯科医である。陽水は父親から水の一字をもらって名付けられた。父は、わかみと読むので、陽水はあきみという読みだった。学校では先生が変わるたびに、読み方を教えないといけないので、この名前が嫌いだったそうな。
小学校時代は成績も良く、学級委員をしていたそうな。
中学時代は、ラジオでアメリカのヒット曲を聞いていた。ラジオの正で成績落ちていった。中学3年のとき、アメリカのキャッシュボックスのランキングで、1位から6位までを独占したビートルズというグループの曲に魅せられた。
ビートルズのように歌うために、ギターがほしかった。親に頼んでも買ってくれそうになかったが、友達の兄のを借りることができた。レコードを聴きながらギターの練習をした。
1964年4月高校入学。高校では、弓道部に入ったそうな。部活とは別にバスケットもやってた。高校3年のときにオープンリールのテープレコーダーを手に入れた。
好きな女の子に曲を作ってプレゼントすることにした。作曲は自分の声で歌いながら作った。ラララララーと歌いながら声でメロディを探す。それからそのメロディに合わせて歌詞をつける。このやり方は今も変わらない。
作った歌をギターを弾きながら歌いテープレコーダーに吹きこむ。
譜面は読めないし、作った曲を譜面に記録することもできないけど、テープレコーダーがあれば不便はない。後に、作曲はできるのにそれを譜面に記録できないことにコンプレックスをかんじていたけど、ビートルズも同じだったことを知った。
1967年。歯科医の父の期待にこたえるべく歯科大学を受験した。勉強はあまりしていなかったので、受験に失敗した。
小倉の予備校に入り家をでて予備校の遼に入った。予備校へは余り行かず仲間と遊んでばかりいたので、2年目の受験も失敗。遊び仲間も当然失敗したろうと思ったが他の仲間はランクを落とした大学にしっかり合格していた。
小倉でもう一年暮らすのはいやだったので博多の予備校に移った。博多でも予備校へ行かずにパチンコ屋に通ったので、3年目の受験も失敗。3浪目に突入した。
1969年4月。音楽番組で、アマチュアの作った曲を流すコーナーが始まり流された曲はへたくそだった。陽水は、俺のほうがもっといいのが作れると思った。
テープレコーダーはあるけどギターがなかった。友達に相談すると買ってくれたのでそれを使って曲を作り、放送局まで持って行き渡した。
その曲がラジオで流され、レコーディングを勧められ、デビューした。芸名は、アンドレ、曲名は、「カンドレ・マンドレ」。売れなかった。
このあとレコード会社を移り、井上陽水として再デビュー。「断絶」「陽水Ⅱセンチメンタル」「もどり道」「氷の世界」へと続く。
作詞についての大ブレークは、ボブ・ディランの「いかにも女らしく」という曲を聴いて会得した。何行か意味不明の詩を連ねて、最後の一行で決める。という方法だ。この方法で作られた曲が「氷の世界」だ。
本の題名は、本の中では別の目的で使用されているが、陽水の歌詞から取られている。アルバム「陽水Ⅱ センチメンタル」に収められている「東へ西へ」の中の一節だ。

個人的なことを少し。ステレオを買ったのは、1982年だったと思う。初めて買った陽水のアルバムは、「ライオンとペリカン」だったと思う。このあとは、新しく出るのを買うとともに、古いほうも買い揃えて聞いた。今でも一番好きなアルバムは、「ライオンとペリカン」だ。LPレコードでそろえたのに、CDに切り替わったので、今はCDでそろえてある。


「ラインダンス」井上陽水著、新潮文庫、1982年
「青空ふたり旅」五木寛之・井上陽水著、角川文庫、1985年
「奇麗ごと」井上陽水著、集英社、1985年
「媚売る作家」井上陽水著、角川書店、1993年
「井上陽水全発言」えのきどいちろう編、福武書店、1994年
「井上陽水 孤独の世界」塩沢茂著、講談社、1975年
「俺の井上陽水」宮沢一誠著、旺文社文庫、1983年
「陽水の快楽」竹田青嗣著、河出書房新社、1986年

(「BOOK」データベースより)amazon
博多で歯科大学入学を目指していた青年は、3度目の浪人中に、地元ラジオ局が募集していたオリジナル曲のオーディションに応募した。それが歌手・井上陽水の誕生の端緒だった。アルバム『氷の世界』で空前のミリオンセラーを生んだ「ニューミュージック界の帝王」の素顔を鋭い筆致で浮彫りにした話題作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 井上陽水:音楽
感想投稿日 : 2009年11月1日
読了日 : 2003年10月30日
本棚登録日 : 2003年10月30日

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