ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる

制作 : モートン・ハンセン共著 
  • 日経BP (2012年9月20日発売)
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感想 : 107
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この本を読んで印象残った事にひとつに、南極探検で成功したアムンゼンと全滅の憂き目にあったスコットの差は、現代の社会においてある業界で成功する一部の企業との違いにそのまま適用できるとの見方でした。

その中の一つに「どんな状況でも20マイル進む」との考えがありました。アムンゼンは南極探検を計画する時に、日々20マイル進む事が出来れば計画は達成できると想定していました。その信念に従い、どんな時でも20マイル前進するとの信念を持っていたのです。

南極の天候は激変します、晴れの日もあれば吹雪の日もあり吹雪の日に20マイル前進する事は至難の業ですが、それでもアムンゼン隊は進んだのです。これだけならよくある根性論に終わりがちですが、アムンゼン隊の優れていた所は、晴れて天候がよく隊員たちが20マイルどころか30マイルでも進めますよと言った時でも、20マイル進行に徹底し隊員を休ませたのです。

アムンゼンは進もうと思えば進める事は理解していたですが、天候があてにならないものである事を理解していました。無茶をして体力を消耗しては、吹雪の日に進行するだけの体力を失ってしまうのが分かっていたので、晴れの時にも無茶をしていなかったそうです。

一方のスコット隊はそれとは反対でした。天候のいい日は、30マイルでも40マイルでも疲労困憊するまで進撃をしたのですが、吹雪の日は休んでいたのです。スコットが6日連続で吹雪に会い、日記で自分の不幸を呪っている頃にアムンゼンはそんな日でも20マイル着実に進み、結局はスコットより早く南極点に到達する事が出来たのです。

スコットのような態度は現代の企業でもよくあります。天気が晴れ(好況)の時は派手にM&Aを行い夢のような利益計画をぶちまけますが、吹雪(不況)になると環境が悪いと自分の不運を呪うのです。

筆者はアムンゼンのような、どんな状況でも確実に前進する企業こそ最終的には大きな企業価値を生み出すと断言しています。そして不況の時に周りの状況の悪化にも関わらず着実に業績を上げる事も偉大であるが、好況時進もうと思えば進める時にも敢えて一定のペースで歩み続ける自己制御力こそ偉大さの源だと語っています。

こう考えますと、中田の今いる会社は好況・不況に一喜一憂する会社である事は否めません。この本を読んで好況・不況に対する自分の考え方を変えなくてはいけないなと改めて思い知らされた次第です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2013年1月24日
読了日 : 2013年1月24日
本棚登録日 : 2013年1月24日

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