イタリアの小説というと色恋沙汰ばかりかと思いきや、反ファシズム、パルチザン運動に関するものも結構ある。
著者のカルロ・レーヴィもレオーネ・ギンズブルグ(ナタリア・ギンズブルグの夫)とも近い関係にあった反ファシズムの活動家で、1935年にトリノで逮捕され、南イタリアのど田舎に流刑にされた。本書はそのときの体験をもとに書かれたものである。同時期に同じように流されたパヴェーゼも「流刑」を著している。日本でレジスタンスといっても、ビラまいて憲兵にぼこされるぐらいなもので文学の余地もないが、さすがイタリアなのである。
面白いのは政治的な内容よりも民俗学的な視点からの観察が多く書かれていることで、山賊の伝説や魔女の呪術、洗礼を受けずに死んだ子どもの霊など、歴史家カルロ・ギンズブルグが中世のフリウリ地方で発掘したような土着の風習は、第二次大戦期でも現役なのである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年1月21日
- 読了日 : 2017年1月21日
- 本棚登録日 : 2017年1月7日
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