大日本帝国の海外鉄道

著者 :
  • 東京堂出版 (2015年11月25日発売)
4.20
  • (4)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 43
感想 : 5
5

ちょっとびっくりするぐらい面白かった。

外地の鉄道といえばもちろん満鉄なのだけど、それ以外の台湾、朝鮮、樺太から南洋の産業鉄道まで網羅されている。
割引切符について妙に詳細だったりして、著者の鉄道好きっぷりが伝わってくる(種本の『旅程と費用概算』(JTB)がそうなのかもしれない)。
下関から釜山に連絡船で渡って、そこからハルピン行きの特急に乗り、シベリア鉄道で欧州へというルートは胸熱である。連帯運輸をしていて、東京発ロンドン行き、という通しの切符も買えたらしい。新幹線の「ひかり」「のぞみ」は、当時の鮮満直通急行の名前だったそうな。
満州は鉄道付属地の特殊権利をめぐる紛争地だったが、終戦時点では全中国の鉄道路線の半分以上が満州に集中していたという。ロシアの東清鉄道に乗り換えるときは、当時ロシアはユリウス暦だったので23分の時差と13日の日付戻しがあったとか、軌道幅が違うので乗り入れもできないとか、話題満載である。今のチベットや新疆も北京時間だけど、他国(内地)の標準時に合わせるのは、噴飯ものだっただろうな、とも思った。

1934年建設の撫順駅はウィーン分離派様式で現存していると書いてあったので、まじ、と思って検索したら今はこんならしい。
http://blogs.yahoo.co.jp/yosihei8jp/50075342.html

分離派というのは、こういうキリッとしたのを言うのであって、現状の内観の酷さはまったくもって残念なことである。当時がどうだったのかはかなり気になる。
http://www.linea.co.jp/info/detail/iid/600


台湾の山岳鉄道は今にでも乗りに行きたいし、樺太にもいつかは行きたい。
そういえば、昔、卒論で新京の都市計画やりたかったのを思い出した。もちろん既往の研究があるので駄目だしされたけどw

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2016年7月13日
読了日 : 2016年7月13日
本棚登録日 : 2016年6月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする