肉体の悪魔 (1954年) (新潮文庫)

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感想 : 5
5

15冊目。

20歳で夭逝した、早熟の天才の数少ない著書。
ざっくり言うと15歳の少年が19歳の人妻を寝取って孕ませる話。

まどろっこしい情景描写を極力排除して、二人の間に通じる、或いは生じる感情と苦悩を多感に描き出す筆に目を奪われ一挙に読んでしまいました。

急激に訪れるラストの肩透かし感がすさまじい。まるで連載の打ち切りを宣告された漫画家が無理やり物語を完結させるかのような急転直下の飽きっぽさ。

武士沢レシーブの最終話よりすごい。

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一番僕を苦しめたのは、僕の官能に課せられた断食だった。
僕のいらだたしさは、ピアノのないピアニスト、たばこのない愛煙家のそれだった。(肉体の悪魔)

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SEXしてえって一言をこんなに格好良く言える16歳を始めて知りました。(ラディゲは16〜18歳の時にこの作品を執筆)

三島やジャン・コクトーなど数多くの知識人に影響を与えた怪童の筆に一酔の価値あり。『仮面の告白』が好きな読者ならきっとお気に召すはず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年2月10日
読了日 : 2009年2月10日
本棚登録日 : 2009年2月10日

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