臨済宗の大徳寺から渡米し他力念仏の教えに導かれた著者町田宗鳳師の初の小説。
著者は、ただ単に小説を書きたかったのではない。
小説からしか伝えられないものがあるからだと云う。
読む者を800年以上前の日本に引き込むこの物語は、末尾に「フィクションである」と但し書きがあるようにかなり筆者の想像が含まれている。(法然上人の実の両親についてなど)
また教義の面では、定善の観想念仏の作法や、六時礼讃を念仏と呼称する点において不勉強が感じられた。
しかしながら、法然の四国流罪の様子、晩年の民衆との対話には、これぞ法然という慈悲と知恵が惜しみなく表現されており、読む者の心に法然の暖かさが伝わってくる。
法然という人物を800年の時を超えて知るにはおすすめしたい一冊だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
浄土宗
- 感想投稿日 : 2011年2月26日
- 読了日 : 2011年2月26日
- 本棚登録日 : 2011年2月9日
みんなの感想をみる