元々筆者は猫好きなのかと思っていたので、冒頭の数話を読んで驚いた。
ノラがいなくなってから内田百閒が毎日泣き暮らす様は、本全体がぐっしょり濡れているかのようだった。
ノラやノラやでは、筆者が無事ノラが戻った際の書き出しや、感謝の折り込みチラシの文言まで用意していたことが書かれており、それだけノラの帰りを待ち侘びていたことが伺えて胸が締め付けられる。
今後わたしは木賊を見るたびノラのことを思い出すだろう。わたしの実家にも木賊が生えているが、実家の黒猫が木賊を抜けて帰らなければどんなに悲しく心配か想像もつかない。
猫の手や耳の描写に、その愛らしさが表れていた。実家の猫に会いたい。
あとがきの稲葉真弓さんが、猫を飼うことを「猫に体を預ける」と描写していてまさにその通りだと感じた。猫を飼っているのがこちらであれば、その飼い猫に支えられているのもまたこちらなのだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年4月21日
- 読了日 : 2021年4月21日
- 本棚登録日 : 2021年4月21日
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