「私」をめぐる冒険: 「私」が「私」であることが揺らぐ場所から (新書y 141)

著者 :
  • 洋泉社 (2005年10月1日発売)
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感想 : 1

最近は新書強化月間らしいです。さっと読める新書から片付けていこうと
いう魂胆でもあります。

「私」って何だろう、という問いにいくつかのヒントをくれる本です。
でも帯に書いてあるような「根拠」はくれないと思います。
私が私であることを感じることの出来る方法というか、そういうものだと
思います。
結局「私」は、他者なり世界なりにぶつかったり傷ついたりすることでしか
わからないものじゃないかと。

浜田先生は供述分析で最近活躍されている、元々は発達心理学専門の
方だったりします。自他二重性とか、自我二重性、
「全き三人称は存在しない」などの言葉が非常に興味深かったです。
他者というものを考えるときに良く出てくるのがやっぱり自閉症の話で
あって、どうにも切り離せないようです。
やはり自閉症のことは臨床例として勉強しておく必要があるのかなと思ったり。

そういえば自閉症に関連する遺伝子が見つかったとかありましたね。
どこまで信用できるのかわかりませんけども。

「心理学に希望はない」と仰っていて、妙に納得しています。
確かに論文なんかにI hope等と書いたら即刻リジェクトだろうな、と。
もちろん、そういう記述の仕方をしないとえらいことになる世界だから
だとは思うのですが。
心理学の場にすら、人だった物あるいは人の欠片しかなくて、
人そのものは居なくなってしまっているような気に時々なります。

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感想投稿日 : 2007年11月28日
本棚登録日 : 2007年11月28日

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