きのうの影踏み (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年9月26日発売)
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本棚登録 : 1550
感想 : 252
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私たちが存在を確認できるものなんて、
この空間のほんの一部なんだろうとずっと思っている。

視覚だって聴覚だって嗅覚だって、
人間の感じる範囲はちっぽけなものだもの。

「異界」とは私たちの日常の中に当然のごとくあり
私たちに見つからないように
人間の脳の動作は大きな力に制限されている…。

その「異界」に近付きすぎた者だけが
研ぎ澄まされる感覚から何かを体感してしまう。

なあんて、私の持論を「ね、そう思うでしょ?」と
この本を読んだ人と語りたくなる
日常の中にあるホラー短編集。

日頃、相棒猫が何もない空間を
食い入るように見つめていると、
あ、何かいるのか、そこがあっちへの入り口なのかと
受け流している私。

この生活する空間が、現在生きている者だけの
独占された場所の訳がない。
(不思議なものは全部存在しうるのではないかと
思っている割に、何かを見たことはないのですが…)

辻村深月さん的ホラーも
怖いのは怖いのですが…日常からかけ離れていないので
そういうことって、あるよと納得してしまうんです。

変ですが…親近感のわく、すごく好きなホラーでした。

『ツナグ』といい、この作品といい、
ものすごい引きで私はくっつきっぱなしになりました。

これからも辻村さんの不思議系物語は
注目だ!!と勝手に思う一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年10月31日
読了日 : 2015年10月31日
本棚登録日 : 2015年10月4日

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