じんわりあたためる、炬燵のようないい物語だった。
中学校の校長や図書館長を勤めあげ
退任後に認知症になった、
東昇平さんと家族の十年間の物語。
だんだんと症状がすすんでいく様子を
丁寧な物語に包んでありました。
結構な分量の大変なことも書かれているのに
ギスギス感が全くないんです。
入れ歯騒動や、お父さんの椅子ボタン騒動や
寝室排泄物騒動なども、クスクス笑ってしまいました。
妻の曜子さん、すごいです。
曜子さんのように寄り添ってあげることができれば…。
昇平さん自身もすごいです。
今あるもの出来ることを駆使して、
感覚で相手に伝えていきます。
三女の芙美と父との電話での会話、
とっても温かかったです。
そんなこと言われたら…号泣ですよね。
言葉って意味を超えて、添えた気持ちを届けたり
できるんですねぇ。
それと「家へ帰る」とか「嫌だ」とかの発言は
そういうこともあるのかも知れないなぁと
色んな場面で考えさせられました。
このラストの描き方も、本の題名もすごく好みです。
「くりまらない」で「ゆーっと」する一冊です。
GPSの名称って、すごいんですね。
私も地球防衛軍を連想してしまいました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年1月27日
- 読了日 : 2016年1月27日
- 本棚登録日 : 2016年1月17日
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