長いお別れ

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年5月27日発売)
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本棚登録 : 1164
感想 : 198
5

じんわりあたためる、炬燵のようないい物語だった。

中学校の校長や図書館長を勤めあげ
退任後に認知症になった、
東昇平さんと家族の十年間の物語。

だんだんと症状がすすんでいく様子を
丁寧な物語に包んでありました。

結構な分量の大変なことも書かれているのに
ギスギス感が全くないんです。
入れ歯騒動や、お父さんの椅子ボタン騒動や
寝室排泄物騒動なども、クスクス笑ってしまいました。

妻の曜子さん、すごいです。
曜子さんのように寄り添ってあげることができれば…。

昇平さん自身もすごいです。
今あるもの出来ることを駆使して、
感覚で相手に伝えていきます。

三女の芙美と父との電話での会話、
とっても温かかったです。
そんなこと言われたら…号泣ですよね。
言葉って意味を超えて、添えた気持ちを届けたり
できるんですねぇ。

それと「家へ帰る」とか「嫌だ」とかの発言は
そういうこともあるのかも知れないなぁと
色んな場面で考えさせられました。

このラストの描き方も、本の題名もすごく好みです。
「くりまらない」で「ゆーっと」する一冊です。

GPSの名称って、すごいんですね。
私も地球防衛軍を連想してしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年1月27日
読了日 : 2016年1月27日
本棚登録日 : 2016年1月17日

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