昭和20年代の戦後、バスガールの少女を主人公にした連作短編集。どうもかつてはこういった「バスもの」「職業もの」の伝統があったと思われるが、本作はその伝統にのっとって、現代にも通じるメッセージを描こうとしている。かつての・・・おそらく東京オリンピック以前までの日本映画や小説には、「有りがたうさん」「暁の合唱」などバスガールやバス運転手を主人公にした映画や小説が定番として存在していたようだ(谷口千吉「吹けよ春風」ではタクシー運転手が狂言回しとなっている)。それにしても昭和30年代までの日本映画を観たあと、そのまま読んで違和感を感じないような作品を現在描け、なおかつ同時代性をも感じさせるのは、ただならないことである。考証の緻密さという意味だけではなく、人間の生活を含めた空気をいま「再話」しているのだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2015年3月18日
- 読了日 : 2015年3月17日
- 本棚登録日 : 2015年3月17日
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