これはすごい作品。物語という表現方法を自分の命の中心においた女性と、黒人男性の愛と遍歴の物語。グラフィック・ノベルであるが、コマ運びなどは比較的読みやすい。しかし速読しようとすると、背景のカリグラフィーをはじめとする圧倒的な絵の情報量の流れを感じて圧倒される。
日本のマンガ「この世界の片隅に」と構造がかなり似ているが、「この世界」に対する視点のシビアさ、失われたもの、得られたものの深さ、世界を「語り直す」視点の多様さなど、本作は圧倒している。おそらく、本作には「家」や地域社会、共同体に対する確固たる、しかしある意味盲目的な安心感がここでは全く存在しないからだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外コミック
- 感想投稿日 : 2013年8月5日
- 読了日 : 2013年8月5日
- 本棚登録日 : 2013年7月31日
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