道 [DVD]

監督 : フェデリコ・フェリーニ 
出演 : ジュリエッタ・マシーナ  アンソニー・クイン  リチャード・ベースハート  アルド・シルヴァーナ 
  • アイ・ヴィ・シー
3.90
  • (116)
  • (120)
  • (123)
  • (11)
  • (3)
本棚登録 : 650
感想 : 128
5

 誰が天使を殺したの?「私。」と神が言った。

人生という長い道で、人は己の存在意義を得ようともがき苦しむものである。
 貧しい家に生れた主人公のジェルソミーナは、粗野で横暴な旅芸人ザンパノに売られ、一緒に各地を転々としながら、妻としてザンパノを支えていく。
 献身的な愛情を捧げるジェルソミーナをザンパノは虐げ、一人の人間としての尊厳を奪い続ける。
「私は美しくもなく、頭も悪く何の取り柄もない。私は何故生まれてきたの?これからどうやって生きていけば良いの?」
 自分の人生を肯定できず、絶望に打ちのめされるジェルソミーナを、仲間のサーカス芸人が慰める。
「この石を見てごらん。この石だって何かの役割がある。この世にあるもので意味のないものは何一つない。」
 彼の言葉に一筋の希望を抱き、ジェルソミーナはザンパノに寄り添って生きていく決意をするが・・・。
 愛を与え続けても最後まで報われず、ジェルソミーナは一人孤独のまま命を落とす。

 この映画はキリスト教色の強い映画だと言われているが、イエスの使徒達が自らの命をもって伝道していったように、ジェルソミーナもまた、自らの愛に殉死することにより、ザンパノを真の人間愛へと目覚めさせる。
 映画のラストシーンでザンパノがジェルソミーナの死を知って慟哭するシーンは胸を打つ。
 

 ジェルソミーナを演じたのは、この映画の監督フェデリコ・フェリーニの生涯の伴侶、ジュリエッタ・マシーナ。小柄で見た目は決して華やかではないが、そのチャーミングさと、高い演技力は他の追随を許さない。
 大柄でグラマスな美人女優が妍を競い合うイタリア映画界で、マシーナはジェルソミーナのような可憐な菫の花であり、見る者の心の中に一際強い輝きを残し続けるのである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マイベストムービー
感想投稿日 : 2015年9月1日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年9月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする