4巻を読んだこの日、東京では雨が雪に変わりました。土砂降りのシーンで始まる4巻の冒頭に、何か運命めいたものを感じたnaonaonao16gは、BGMに雨の音を選びました。AppleMusicは便利です。雨の音だけを集めたプレイリストがあるのです。
naonaonao16gはもともと、計画を立てて、この作品を読もうとしていました。
全13巻。
約2週間で読み終わるなと、そう踏んでいました。
なのでnaonaonao16gは、できるだけ早く全巻揃えようと書店やブックオフを駆けずり回り、かなり早い段階で全巻揃えたのです。
しかしです。
3巻読了後から、次の巻に手を伸ばすのが怖くなってしまったのです。
続きを読むことが、知ることが、とてもとても怖くなってしまったのです。
はじめは、3巻を読んでいる時にいつもより多めにお酒を飲んでいたからあまり内容が頭に入ってこないのかな、だから読了後にこんなに疲れるのかな、とか思っていたのです。
しかし、やはり、そうではありませんでした。
この作品は、確実にnaonaonao16gのメンタルに、ぐりぐり、ごりごりと、音を立てて侵略してきたのです。
「生きる」ということに、常に疑問を持って生きている人であるれば、一度は神様に聞いたことがあるでしょう。
「神様、なぜわたしは生きているのでしょう」
きっと、神様は答えてくれません。それは、自分で出すべき答えだからです。
naonaonao16gも、それを神様に問い続けた一人です。そしてある日、それでも答えをくれない神様に対して、諦めの感情を持ちました。
そして、こう結論づけたのです。
「人生とは、長い長い暇つぶしである」
そして、そんな答えを出した自分にうんざりしました。
なぜなら、仕事では、これからの未来を担う子どもたちに、生きることの素晴らしさを訴えかけているからです。
でもそれも、決して嘘では無いのです。しかし、生きることに対して諦めている自分と、希望を持って生きようとしている自分と、そのギャップと矛盾に、時折耐えがたいほどの苦痛を感じることがあるのです。
一体自分が本音では何を考えているのか。
それは、その本音の、おそらくは触れてほしくないところを刺激してくる奴に出会った時に、爆発しそうになるのです。
naonaonao16gは、結婚だって出産だって家族だって、持つ気はないとふるまいながらも、実はその機会に恵まれなかっただけなのです。だから、その触れてほしくないところを刺激してくるような言葉や表情、その言葉の裏に意図があった時に、絶望するのです。
自分は普通のことができなかった…でも、そんな可哀想な自分を素直に受け止めてあげることができないのです。だから、「普通ってなんだろう」とか話を逸らしたり、「結婚が全てとは限らない」と正当化したり、そんなふうにして生きているのです。それが自分の価値観に合った幸せであると思い込もうとしているのです。でも、本当は、普通が欲しいのです。本当は、誰かと特別な関係を築きたいのです。でも、実際それに近いことが起こると、怖くなってしまうのです。そして、自分から嫌われるようなことや、思っていることと違うことを、相手に言ってしまうのです。そしてまた、枕を濡らすのです。もう、こんな事は繰り返したくない、そんな風に思うのに、ちっともうまくいかないのです。だから周りに言われるのです。「一体どうなりたいの」と。naonaonao16gにも、それは分からないのです。いざ、手に入れたいものを手に入れると、途端に怖くなってしまうのですから。
4巻は、背徳感と罪悪感、孤独、欲望と落堕、人間という存在、幸せと絶望。それらがゴトゴトと音を立てて降り注いできます。まるで大きくて大きくて痛い、土砂降りのように。
naonaonao16gには、痛いほど理解できるのです。幸せ過ぎると不安になる気持ち、どこまでも堕ちてゆきたい気持ち、あなた以外、他に何もいらないって気持ち。
次回、5巻では「幸せ」について、自分なりに考えてゆきたいと思っています。お楽しみに!
- 感想投稿日 : 2021年1月30日
- 読了日 : 2021年1月28日
- 本棚登録日 : 2021年1月30日
みんなの感想をみる