ソーシャルワーカー (ちくま新書)

  • 筑摩書房 (2019年9月6日発売)
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感想 : 24
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精神保健福祉士の資格取得の一環として、今一度「ソーシャルワーカーとは」というところに立ち返ろうと思い読み始めたものの、時間がかかりすぎました。

1章 ソーシャルワーカー――悲惨に立ち向かい、身近な社会を動かす人たち ★★★★☆
現代の社会・個人が抱える問題を提示し、ソーシャルワークとソーシャルワーカーについて事例を交えながらわかりやすく説明している。

2章 ソーシャルワークの原点とは?――課題を乗り越えるために ★★☆☆☆
本作品は、”ソーシャルワーカーを知らない人にもわかりやすくソーシャルワーカーのことを伝える作品”というスタンスで描かれていると序盤で説明があったのだけれど、うーーーん…
文章が難しいだけでなく、なかなか専門的なことが述べられている気がして、福祉の学校で学んだことのあるベースの部分(リッチモンドとかエンパワメントとか)があったからなんとかついていけていたような気がする。
P64「リッチモンドは、ソーシャルワークにおける複数の機能や役割を統合するのがソーシャルワーカーであり、『訓練を受けたことのない者では知的能力があろうと達成されない』と私たちに呼びかける」。
ガツンと来ると同時に揺さぶられる。自分にその専門性があるのか、考えさせられる。
また、ソーシャルワーカーに必要な価値として「社会変革」が最重要であり、それは大きなものでなくてもよく、P70「非常勤等の立場を利用して『組織の価値』から離れた展開を密かにまたは非公式なかたちで推し進めることが考えられる」P82「『社会変革』の起点は個人のアイデンティティの変容にあり、そのためには人々の関係構造に対して変化を求めていく必要がある。黙殺・無理解・不安や恐怖・排除に支配された関係性を、対話・理解・信頼・包含に基づく関係性へと変容させていくことが肝要なのである」。
こうして考えると、どんな職場の人間関係もまさにこんな感じで、ちょっとした関係性がぐわんぐわんと波打っていて、みんなきっと毎日そういうことと戦いながら働いているわけで、それこそが「社会変革」なのかもしれないな、なんて思った。つまりソーシャルワーカーは、職場の中でも外でも社会変革をしているわけだ(ちょっと違う)。
最後は、社会福祉士と精神保健福祉士の資格のことに触れ、第3章へ入る。

第3章 ソーシャルワーカーはなぜひとつになれないのか ★★☆☆☆
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士と資格が分離されていることに対する歴史的背景が描かれている。
P130「精神保健福祉士の受験資格があまりにも甘いことがあるのかもしれない。受験資格こそ社会福祉士のそれに倣ったようだが、合格率は精神保健福祉士の方が圧倒的に高い。通信教育でも取得できる、高校に行かずとも取得できる、そのようなものがはたして専門職の資格だと言えるだろうか」。
ごめんなさい!!通信教育で取得を狙っていまああああああす!!!

第4章 ソーシャルワーカーはどこに立ち、どこに居場所を作るのか ★★★☆☆
読みやすさ、分かりやすさでいうと、本作品の中で断トツの章。ソーシャルワーカーだけがソーシャルワークをしているとは限らない。やっていることが結果としてソーシャルワークだったのだ。
あれ?じゃあソーシャルワーカーの専門性ってなんだ。
P175「私たちがやるべきなのは支配じゃない。支援なのだ。」

最終章 ソーシャルワーカーが歴史をつくる ★★☆☆☆
作品全体を通して熱量があって、それは同じように感じる部分もあるのだけれど、どことなく居心地の悪さを感じたりすることも多く、方向性がわたしとは少し異なっているのかもしれない。でも、こうして異なる価値観の人間がソーシャルワーカーとして共存していることも、人を支援する上で、大切なことなのかもしれない。

読み終わっても自分自身のことを振り返る余裕もなく(いや、振り返りたくないのかも)、日々が過ぎて、もう秋を感じるようになって。
体調はなんとか回復したものの、ものもらいができたり、季節性の喘息になったりと、なんだか年中ベストな体調ではない気がしている。
そして、こういう作品を読んでいると、なかなか頭が切り替わらなくて、ぐるぐるといろんなことを考えてしまう。
幼稚園のバスに置き去りにされた子どもの命のことを思う。
ご冥福をお祈りいたします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月9日
読了日 : 2022年9月1日
本棚登録日 : 2022年9月9日

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コメント 3件

アールグレイさんのコメント
2022/09/09

naonaoさん(^_^)/こんにちは

以前より、naonaoさんのお仕事はそういった関係なんだろうナ、と思っていました。レビュー、コメントの文章を読む限り多分そうだろうと思っていました。間違っていたら申し訳ないのですが。
私には、障害を持つ知り合いが結構いるのです。ちなみに、お隣に精神の方が家族と住んでいます。毎日、作業所に通っています。
“支配じゃない支援なのだ!”
通信だっていいじゃないですか!
頑張って下さいね!
実になる資格ではないかと思います。
p( ^ 。+ )♭

naonaonao16gさんのコメント
2022/09/09

アールグレイさん

こんばんは!コメントありがとうございます!!

いやいや、間違ってないですよ~
わたしはもう1つ国家資格持ってますが、それはめちゃめちゃ勉強して点数も余裕を持って合格したので結構自負してます爆
そこにもう1つ取ろうとしているわけですが、やはり国家資格…働きながらはすごく大変で…
合格に向けて頑張るのみです!!

障害を持っている方がお近くにいらっしゃるんですね。
この作品を読んで、わたしは障害者/健常者という目線で物事を考えてるなと認識しました。わかったふりってよくないですよね。自分がそういう価値観なのだと認識できた、いい読書の機会になりました。

アールグレイさんのコメント
2022/09/09

こんばんは★ナオナオさん

お返事ありがとう!
人は皆同じ、十人十色、障害はその人の個性だ、と思っています。
・・・・・間違っているでしょうか?
ソーシャルワーカー、大変そうです。ストレスも溜まるのでしょうね。私は病院通いをしています。支援される側です。特に歳のせいもあって足腰が・・・・(ρ_;)
でも、元気なアラシックスです。(恥ずかしいので小文字ョ)
国家試験、うわ~スゴッ!
また余裕で受かって下さいね!読書量は少し減るかな?
とにかく、応援させて頂きます!
返信不要です、その分違うことに時間を使って下さい。
good night
(ρд-)

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