なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所 (2019年6月15日発売)
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感想 : 39
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この本を読んで、子育てをしたい!と思う方は、どのくらいいるんだろうか。
いつも、こうしたテーマの話になると「労働基準法を変えればいんじゃね?」って思うけれど、果たしてそうだろうか。
サマータイムもプレミアムフライデーも、日本人にはなじまないように、きっと法律を変えたって(例えば、法律で一日の労働時間を短くしたって)日本人は働きまくる。
じゃあどうすればいいか。
日本人は、グレーゾーンが苦手だ。このままでは、生きるには専業主婦(主夫)もしくは正社員のいずれか選ぶことを迫られる。というか、迫られている。誰かがいないと生活が成り立たないような、そんな制度になっているからだ。誰もいなくても生活が、社会が回るシステムとか、お金と引き換えに誰かがやってくれるシステムとか、そういうのがないと、やっていけない。後者はお金がある人はいいし、実際そうしたサービスはどんどん増えている。でも、制度を利用できる人が、「世間体が…」と言って利用しない。前者はどうだろう。前者のシステムになるには、自立を前提とした制度が必要だ。
今の日本の制度は、自立を阻害するような制度になっている。扶養が特にそうだ。103万の壁と、130万の壁。逆転現象は特にダメでしょ。現在の自営業の保険を見てもわかる通り、会社員と比べると、圧倒的に不利。特に正社員。組織に属している、というだけで特権階級。

わたしは自由に生きたいから、世間体とか、専業主婦を選ばざるを得ないといけない状況とか、そんなことはまっぴらごめんで。でも働き続けると言っても今の世の中共働きで子育てなんて自分がキャパオーバーになるなんてわかってる。さらに、自分の生い立ちのことも含めると、家族を持ちたいとかそんなことも思ってない。だから結婚にもそんなに興味がない。

専業主婦を選ばざるを得ないのは、制度がそうなっているからだ。それを女性が担うのも、男性が当然のように働くことを選ぶのも、制度が前提となった世間体だ。日本の男性の育休制度は、世界が誇るほど素晴らしいものだ。それなのに、その利用を阻むのは、世間体だ。(おのれ世間体…!)ニワトリか卵か。制度ができた時は、一億総中流と言われた社会だった。格差社会の今は、それに合わせて制度を見直さないといけない。幼児教育の無償化が、果たしてその役割を果たしているのか?全く果たしてないわけではないかもしれないけれど、今着手すべきがそこなのかどうかってこと。

制度として扶養に入った方が生活しやすいのであれば、誰だって扶養に入りますよ。そしたら当然、扶養に入っている側が、どうしても立場としては弱くなる。いくらジェンダーがどうのこうの言ったところで、制度が、国が、力のある側の味方をしている。女性が子育てをするのは当然なのに、男性がちょっとでも子育てに関与すればイクメンと言われる。女性が家事をするのは当然なのに、男性が家事をすれば家庭的と言われる。女性が電車で子どもを泣き止ませられないと非難される。働くママ、と言うわりに働くパパ、とは言わない。男性は働かないとヒモと言われるのに、女性は専業主婦という立派な職業になる。

労働基準法をどうにかいじったところでこの国は変わらなさそうだし、保険制度をいじる方が、実態と合う気がするんだけどな、なんて素人ながらに言ってみる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年10月27日
読了日 : 2019年10月21日
本棚登録日 : 2019年6月11日

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