大長編ドラえもん (Vol.4) のび太の海底鬼岩城(てんとう虫コミックス)

  • 小学館 (1983年6月25日発売)
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感想 : 35

もう何度目だろう? 何度読んでも面白い!

もし、ドラえもん映画で最もすぐれているのは何か、と聞かれたらすごく迷うだろうけど、大長編ドラえもんだったらこの四作目、『のび太の海底鬼岩城』だな。

このころの絵が一番硬質で、緊迫感がある。
敵の本拠地アトランチスの不気味な暗さ、
鉄騎隊の金属のとげとげしさ、
そしてそして親玉ポセイドン!
てんとう虫コミックス198ページでポセイドンが
「時はきた!わが前にいけにえを!その娘の首をはねよ!」
と叫ぶコマ、これなんかゾクゾクしちゃうな~。
そのあと全然セリフのないコマが3コマ続くところがたまんない!
必死の形相で「あんたを爆破してやる!!」とポセイドンをにらみつけていたしずちゃんがすっかり無抵抗になっているのが、まさに絶望!って感じでね、かっこいいの!

でもすごいな、と思うのは、アトランチスの戦いってたった三十ページちょっとだっていうこと!
本編だって207ページ。それだけで「大長編」なんだもんね、それがすごいよ。

ドラたちが本格的に冒険に巻き込まれるのは半分過ぎてから。
それまでは夏休みに海底で楽しくハイキングしながら、じわりじわりと変な感じが重なっていく、これがまたいいんだ。消えては現れる幽霊船。バーミューダトライアングルの伝説。水圧死寸前になるジャイアンとスネ夫。「死ヌンデスカ。人間ナンテイバッテテモ、コウナルトダラシナイモノダネ」というこの突き放したセリフ!

もちろんハイキングの楽しさもちゃ~んと描いててね、ほんっとこれ楽しそう!
ポンプ式でプカプカふくらませて建てるテントアパートほしい!
38ページの4コマ目で急に真上から見下ろす構図になって、ジャイアンだけ満面の笑みで寝転がっているのがいい!
昼ごはんに食べたいものが
「ぼくお子さまランチ」
「パンケーキ」
「カツどん大盛り」
「フィレミニョンステーキをレアで」
と、みんなすごく「らしい」とこがいい。
のび太が「くらげごっこ」なんていう、じつにひまったらしい遊びを提案するのがなごむ。
「くらげみたいにユラユラうかんで昼寝するの。どこまでただよっていくか目がさめたときのお楽しみ」
そしてみんながそれをまったく無視してしずちゃん提案の「深海魚をみるツアー」を採用するところがまたいい。
深海底まで何キロも続いている大陸斜面を見てのび太が
「サンドスキーのゲレンデにしたらおもしろいだろうね」
となかなか気のきいたことを言うとドラがすかさず
「そりゃあ、おもしろいにきまってる。ただし、スキーがすべれればだけど」
といつものイヤミを返すやりとりとかも読んでてニヤニヤしてくる。
98ページから101ページにかけての水の上の食事はもう極楽!これぞ極楽!と思う。『ドラえもん』に出てくる食事ってどうしてあんなにおいしそうなんだろう?
79ページと80ページ、五人がセリフを分担しながらマリアナ海溝の底の底までまっさかさまに下りていく……ああ、一度でいいからこんなことやってみたい! 絶対無理だけど、無理だからやってみたい!

やっぱりドラえもん最高!

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ドラと藤子ともうひとつ
感想投稿日 : 2014年7月20日
本棚登録日 : 2014年7月20日

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