ここから世界が始まる (新潮文庫 カ 3-9)

  • 新潮社 (2022年9月28日発売)
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本棚登録 : 226
感想 : 15
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『8歳で作家になった』と言ったと言われるカポーティは、16歳の時に『ニューヨーカー』で雑用の仕事をしていて、21歳の時にO・ヘンリー賞を受賞。恐るべき子供(アンファン・テリブル)と注目を浴びて社交界デビューするけど、51歳の時に書きはじめたみかんの遺作『叶えられた祈り』で社交人の秘密にしたいことを暴露しちゃって追放される。60歳にハリウッドの友人宅で心臓発作で死亡。酒と薬物の問題を抱えていた。
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早熟の天才が社交界で豪遊して酒か薬の問題抱える例で言ったら『悲しみよ、こんにちは』のサガンを思い出す。
この短編集、カポーティが10代とか20代前半に書いた作品集なんだけど本当何か物語を描写するために生まれてきた人なんだろうなって思った。
『知っていて知らない人』『これはジェイミーに』『似たもの同士』『ここから世界が始まる』の4作品が特に好きだった。

ゲイで、女の子に生まれたくて、父親は刑務所に行きそうになるし母親はアルコール依存だし、預けられた親戚の家は差別主義が根強い土地だし、その中で生まれ育って貧困や黒人をテーマの話をなんとか書こうとした若年期の作品たち、カポーティの苦しさが透けて感じられてすごくせつなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月31日
読了日 : 2023年1月31日
本棚登録日 : 2023年1月31日

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